1「心に聞く」とは
FAP療法では、「心に聞く」という方法で自分について聞いてみる方法があります。
自分のことなのに「聞く」ってどういうことなのかと思いますが、私たちは案外「自分の気持ちや本心」を周りに合わせて、抑えてしまうのではないでしょうか。
そこで、本来の自分の感覚である「無意識さん」とつながり、その感覚を感じとっていく方法「心に聞く」で聞いていきます。
自分の心に問いかける時に「心よ」と無意識につながるキーワードのような言葉を添えて聞く簡単な方法です。もちろん実際の音として答えを聞くわけではなく、感覚的に捉えるというものです。
感じ方も人それぞれで、映像でイメージとして浮かんだり、一文字で浮かんだり体感覚だったりと様々です。この他の感覚もあると思います。
どんな風に聞いていくのか、実際の流れをご紹介致します。
2「心に聞く」問いかけ方
「心よ」と一言添えるだけで、何を聞いてもOKです。
例えば「心よ、お昼何食べたい?」「心よ。母からの依頼に応える?」「心よ。休みの日は何をして過ごす?」など、自分が心地よく過ごすためにいろいろと聞いていきます。
慣れてきたら、気になることや悩み事も聞いてみるといいですよ。
その時は、「心よ。私を助けてくれますか?」と問いかけて心の準備をします。
「はい」の感じや「助けるよ」、私の場合は「もちろん」と言った感覚があります。「その時に「いいえ」の感じや全く答えらしき感覚がない場合は以下に)
次に
「心よ。今私は、○○が気になっています。(自分を否定するような感じや気持ち)これは、私の感覚ですか?」と聞いてみます。
「はい」または「いいえ」「はい」の時は、本来ネガティブな感覚は自分のものではないため邪魔の排除を行ってみます。
物事が上手くいかない時は、だいたい自分の感覚ではなく、周りの影響を受けていたりします。自分で決めて納得して行動する時は、上手くいかなくても次にどうしようかの思考が働き、上手くいかない感覚すら感じないものです。
自分の周りが気になっている時は、ミラーニューロンの働きで
*ミラーニューロンとは、相手の行動を見て、自分自身までも同じ行動を取っているかのように反応する人間の脳内の神経細胞の一つの働きのことです。相手が緊張していたり、不安を感じていると自分に伝わり、あたかも自分が感じているかのようになる感じのことです。
他者の感覚を自分の感覚であると感じている可能性があります。
親が心配して否定的な雰囲気を出し、親が感じている不安を自分の感覚として受けとってしまうことはよくあるのです。
「私の感覚?」に対して「いいえ」といった場合、次の質問も行ってみます。
「心よ。これは、誰の感覚ですか?」「お母さんです」「お父さんです」だったり「兄弟姉妹だったり」「その他だったり」具体的に出てこない時は、はっきりさせる必要はないので「オリジナル」と表現します。また、「聞きたくない」という場合は、質問しなくても大丈夫です。
次に
「心よ。これは、○○さんの感覚なので○○さんにお返し下さい」と言ってお返しします。「誰と言った答えがない場合や質問しなかった場合は、オリジナルにお返し下さい」と言ってお返しします。
「お返しする」と言うのは、本来の元に返すだけですので、自分が楽になり相手は変わりなく、相手の調子が悪くなることはありませんので、安心してお返しします。
お返ししてから改めて「心よ。○○なのは、どうして?」と聞いてみたり「心よ。私が私のためにできることを教えて」とか「私が一番望んでいることを教えて」など、聞いていきます。
それに対して答えが浮かんだら「心の答え」の通りにまずはやってみます。難しいことではなく「のんびりと映画やドラマでも見ようか」とか「身体に優しいベジタブルな料理を食べる」「ちょっと昼寝をしようか」など、シンプルな答えだったりします。
「やりなさい」とか「やらなければならない」というのは、自分の「心の声」ではなく親(身近な存在の方)に植え付けられた暗示のようなものです。
「○○してみる」とか「こんな感じよ」と言ったふわーんとした優しい答えが自分の感覚です。
これで、心が軽くなっていけば、バッチリです。どんどん自由になっちゃってください。
3 質問に対してネガティブな答えが返ってきた時は
質問に「いいえ」の答えや否定的は答え、または「・・・」と全く、答えが浮かばない時は、「邪魔の排除」をする声かけをしていきます。
「邪魔の排除」とは
「無意識」の感覚に触れるのを邪魔するのが、良い悪いに縛られた「あるべき論」のような判断です。
親や教師、周りの大人たちから学んだ社会で生きていくためのルールや規則のようなものですが、「トラウマ」の影響を受けちゃった人の場合、このルールのようなものだったり否定的な声掛けなどが、心身のバランスを崩す位、強かったことが考えられます。
「無意識」は、生命維持のために働く本能や感性、感覚などの働きです。それに対して、考えたり良い悪いと判断したり評価する脳の働きが「意識」です。
私達が生まれた幼少期では、良い悪いを判断することはまだ備わっていません。親から学んだり、学校で学習することで身についていくものです。この頃の親の存在は、頼るしかない身近な存在ですので、特に影響は大きいです。
親から肯定的な関わり方をしてもらえると「自分はこれでいい」と自信が持てるのですが、否定的な関わり方の親の元で育った場合、親の顔色を伺うため自分の感覚がどうなのかがわかりにくくなります。
親の愛情を感じて甘える時期でもある幼少期に親の顔色を伺うというのは、常に緊張状態です。緊張していると、できることもできなくり、失敗をし「何やってるの。ダメじゃない」と追い打ちをかけられ「やっぱりダメだわ」と、自己暗示になり自分自身にダメな評価が定着してしまいます。
その状態では、自分の感覚に自信が持てず、無意識のうちに親や周りの評価を基準に自分の在り方を決め、周りの感覚が自分の感覚のようになってしまいます。
本当に自分の進みたい方向や、自分のやりたいことがわからなくなるのも然るべきなんです。
親や周りの影響を受けた「やらなければならない」という判断で、強く規制してしまう感覚を「邪魔」という表現を使用しています。
自分の感覚ではないという意味で「邪魔」という捉え方です。
そこで「邪魔」を排除していきます。
「心よ。私と心(無意識)との間に邪魔はありますか?」と聞いてみます。「はい」の場合
「心よ。その邪魔を排除して下さい」「心よ。排除できたら教えてね」これだけでいいので、至ってシンプルです。全て、感覚的なものですが、どこか「スーッ」とする感覚があるものです。
邪魔を排除してから、質問を行います。聞きたいことを「心よ」をつけて聞き、ネガティブな感覚は自分の感覚ではないので、元にお返ししたり「邪魔の排除」を行いながら質問をしていきます。
このような流れで、気楽に行っていきます。
4「聞き方」のちょっとしたコツ
始めは、感覚がつかめないものです。今まで、自分の感覚の声を聞いてこなかっただけですので、焦らずに問いかけていきます。また、始めは問題点や悩み事の答えよりも簡単な質問から慣れていきます。
例えば
「心よ。今日のお昼は何が食べたい?」とか、最初は「心よ。今日の夕飯は○○と○○のどっちが食べたい?」と2択の方が答えが浮かびやすいです。
「こうでなければ」がないので、自由に楽しんで練習していただければと思います。
自分の気持ちや自分の感覚を聞くのは、大切なことにも関わらず、今まで聞いてこなかったので、質問しても「完全に無視?」といったこともあります。
本音の自分が拗ねてしまって「今まで、一切聞いてくれなかったでしょう」と「無意識が協力しようとしてもどうせまた聞いてくれないんだから」とでも言っているかのようです。
ここは、根気よく「これからは、無意識と意識と協力し合おうよ」となだめながら「心に聞いて」あげて下さいね。焦らずに淡々と続けていくのがコツです。
「無意識と意識」が連携、協力し合うと人生はいい方向へと進むしかありませんので、是非、今から「心に聞いて」選択してくださいね。