なぜ、こんなに気にしてしまうの?

感情と悩みの関係を知ると、心は少し軽くなる

「相手の何気ない一言が、ずっと頭から離れない」

「嫌われたかもしれない、と不安になる」

「頭では気にしなくていいと分かっているのに、気持ちがついてこない」

そんな経験はありませんか?

私たちが日々感じている「悩み」には、実は感情が深く関係しています。

そして、その感情は決して「弱いから」「気にしすぎる性格だから」生まれているとは限りません。

今回は、悩みと感情にはどのような関係があるのか、そして、なぜ同じようなことで何度も苦しくなってしまうのかについて、お話ししてみたいと思います。


1.悩みを苦しくしているのは「出来事」だけではないのかも

私たちは何か嫌なことがあると、

「○○さんに、あんなことを言われたから」

「職場でこんなことがあったから」

「家族が分かってくれないから」

と、その「出来事」が自分を苦しめているように感じます。

もちろん、実際に相手の言葉や態度に傷つくこともありますし、理不尽な出来事に遭遇することもあります。

ですから、「自分の受け取り方を変えればいい」という単純な話ではありません。

ただ、少し視点を変えてみると、同じような出来事があっても、人によって心の反応は違います。

たとえば、誰かから少し冷たい言い方をされたとします。

ある人は、

「今日は機嫌が悪いのかな」

と思って、そのまま気にせず過ごせるかもしれません。

一方で、

「私、何か悪いことをしたかな」

「嫌われたのかな」

「どうしよう……」

と、何時間も、時には何日も気になってしまうこともあります。

同じ出来事でも、心の中に起こる反応は人それぞれなのです。

そして、この「心の反応」が大きくなればなるほど、出来事そのものが終わった後も、私たちを苦しませ続けることがあります。


2.頭では分かっているのに、なぜ感情は反応するの?

「そんなに気にしなくていいよ」誰かにそう言われて、

「そうだよね」と、頭では納得している。

それなのに、心の中ではモヤモヤが消えない。

そんなことはありませんか?

「もう終わったこと」

「考えても仕方がない」

「相手にも事情があったのかもしれない」

そう頭で考えても、不安になったり、悲しくなったり、腹が立ったり。

なかなか気持ちを切り替えられないことがあります。

そんな時、

「どうして私はこんなに気にするんだろう」

「もっと強くならなくちゃ」

「こんなことで悩む自分が嫌だ」

と、今度は感情が湧いたこと自体を責めてしまうこともあります。

でも、感情は「こう感じよう」と頭で決めて生まれてくるものではありません。

気がついたら、不安になっていた。

気がついたら、胸が苦しくなっていた。

気がついたら、涙が出ていた。

そんなふうに、私たちの意思とは関係なく反応することがあります。

だからこそ、感情を「なくそう」「考えないようにしよう」と頑張るだけでは、

なかなか楽になれないこともあるのです。


3.その感情には、これまでの体験が関係していることもあります

では、どうして人によって心の反応が違うのでしょうか。

そこには、その人がこれまで経験してきたことが関係している場合があります。

たとえば、子どもの頃から、

「ちゃんとしていないと怒られる」

「迷惑をかけてはいけない」

「人に嫌われてはいけない」

「期待に応えなければいけない」

そんな環境の中で頑張ってきた人は、大人になってからも、

人の表情や言葉に敏感になることがあります。

相手のちょっとした表情の変化を見て、「私、何か悪いことをした?」と不安になる。

本当は断りたいのに、「嫌われるかもしれない」と思って断れない。

一生懸命やっているのに、

「まだ足りない」「もっとちゃんとしなければ」

と自分を追い立ててしまう。

これは単なる「考え方の癖」だけではなく、

これまで自分を守るために身につけてきた

心の反応が関係していることもあります。

だから、「気にしないようにしよう」

と頭で言い聞かせても、心や身体のほうが先に反応してしまうことがあるんですね。


4.感情を無理に消そうとしなくても大丈夫

不安や怒り、悲しみなど、いわゆる「ネガティブな感情」が出てくると、

「早くなくしたい」

「こんな感情は持たないほうがいい」

と思ってしまいがちです。

けれど、感情そのものが悪いわけではありません。

感情は時に、「本当は嫌だった」「怖かった」「悲しかった」「無理をしていた」

そんな自分の内側の声を教えてくれるものでもあります。

ですから、

感情をなくすことを目指すのではなく、感情に必要以上に振り回されなくなっていくこと。

私は、こちらのほうが大切だと考えています。

「不安になってはいけない」ではなく、「ああ、私は今、不安なんだな」と気づく。

それだけでも、感情にすっかり飲み込まれている状態から、少し距離を取ることができます。

そして、その反応が何度も繰り返されるのであれば、

「どうして私は、このことに対して、こんなに反応するのだろう?」

と、その奥に目を向けてみることも大切です。


5. 繰り返す心の反応を軽くしていくFAP療法

私がカウンセリングの中で取り入れている方法の一つに、FAP療法があります。

「頭では分かっているのに、どうしても反応してしまう」

「いつも同じような人間関係で苦しくなる」

「人の目や評価が気になって、自分らしく振る舞えない」

「過去のことだと分かっているのに、今も苦しい」

こうした状態では、頭で一生懸命考えて答えを出そうとしても、

なかなか変化しにくいことがあります。

FAP療法では、表面的な考えだけではなく、その人の中に残っている心の傷やトラウマなど、今の反応につながっている背景にアプローチしていきます。

すると、今までなら強く反応していた場面でも、

「あれ?前ほど気にならない」

「そういう考え方もあるよね、と思える」

「以前だったらずっと引きずっていたのに」

そんな変化が起きてくることがあります。

無理に「気にしない人」になろうとするのではなく、

気づいたら以前ほど反応しなくなっていた。

そんなふうに心が軽くなっていくことを目指していきます。


6.感情に振り回される毎日から、自分らしく生きる毎日へ

長い間、人の顔色をうかがったり、

「ちゃんとしなくちゃ」

「嫌われないようにしなくちゃ」

「もっと頑張らなくちゃ」

と生きてきた方にとって、それを急にやめることは簡単ではないかもしれません。

でも、

「私はどうしてこんなに気にするんだろう」

と自分を責める代わりに、

「この反応には、何か理由があるのかもしれない」

と見てあげることができたら、それだけでも自分との関係は少し変わっていきます。

感情は、あなたを困らせるためにあるものではありません。

そして、今までずっと続いてきた心の反応だからといって

これからもずっと同じとは限りません。

少しずつ心の重荷が軽くなっていくと、「相手はどう思うだろう?」

ではなく、「私はどうしたい?」

という自分の気持ちにも、少しずつ気づけるようになっていきます。

人の目や過去の出来事に必要以上に縛られず、

自分らしく、心軽やかに生きていく。

そのための一歩として、まずは自分の感情を「なくさなければいけないもの」ではなく、自分を知るためのサインとして見てみてはいかがでしょうか。


「頭では分かっているのに、同じことで苦しくなってしまう方へ」

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