1.「トラウマさん」が解消されていくと「自分の人生」を選択できるようになる
私は、「自由に自分の人生」を選択することができませんでした。今は亡き母親の期待に応えようとする人生を長く続けていました。そんな人生から自由になるきっかけになったのが「FAP療法」です。
FAP療法(Free from Anxiety Program : 不安からの解放プログラム)は、わが国で1999年に大嶋信頼氏らにより開発され、2001年に体系づけられた「トラウマさん」を解消する新しい心理療法です。
母親の期待に応えるために必死になっていた幼少期を過ごすことで、いつしか緊張状態が続く毎日でした。大人になり人間関係を築いていく中で、気の合う友人もいますが、無理をして合わせてしまう関係性から抜け出せず悩んだものでした。それが「トラウマさん」の正体です。(笑)
友人関係や職場の人間関係で母親との関係性を再現してしまうことがあります。FAP療法では、「トラウマの再上演」と言います。その関係性を手放すには、「トラウマさん」を解消していくのが最適なのだと思います。
私の場合「FAP療法」と「セドナ・メソッド」なども行ってみました。セドナメソッドは、自分で行える簡単にネガティブな感情を手放す方法です。
私の場合、自分で行っていくだけではトラウマさんが大きすぎましたので(笑)「FAP療法」を受けてみました。
今回は、その「FAP療法」をご紹介致します。
2.「トラウマさん」を理解する
自分ではわかっているつもりなのに、感情のコントロールが効かなかったり、自分の望まない反応をしてしまい抜け出せない時ってありますよね。
そんな時、自分を責めてしまいますが「トラウマさん」の視点から見ていくと理解しやすくなります。
「トラウマさん」と聞くと、災害などの大きな出来事があり、フラッシュバック(後になり、トラウマの体験記憶が突然かつ鮮明に頭に浮かんできたり、夢に見たりする状態)が起こる程の心の傷のことです。最近では、幼少期の環境により緊張が続いたり、ちょっとした傷ついた経験が重なることでも起こることが分かってきました。
つまり「トラウマさん」は、多かれ少なかれ皆さん経験している可能性がある訳なんです。
「トラウマさん」と聞くと「ええー」と思っちゃいますが、自分の感情のコントロールが効かなかったり、負のループから抜け出せないと思う時は、自分を責めずに「トラウマ反応かもね」と気づくことが大切です。
「あっ、トラウマさんね」と、一つの現象として目を向けるのであって親の育て方を責めるものではありません。親を責めても何も変わらないため苦しくなってしまうからです。親御さんとは、コミュニケーションの相違があったのかもしれませんが、大人になった今では親よりも、自分の心の癒しに注目していきます。
そのためにも「トラウマさん」について、少し整理していきます。
3.「トラウマさん」の正体とは?
「トラウマさん」は、状況の記憶と感情の記憶が結びついていないことから起こると言われています。
私たちの記憶は「感情」と共に整理されていくのですが、出来事とそれに伴う適切な感情が結びついていないと、ネガティブな感情が整理されていないため「あれでもない、これでもない」と探り続けて、いつまでも頭から離れなくなります。
私の育った環境は、母が後妻でしたので、3人の異母兄弟がいる末っ子として生まれました。姉は、優しく可愛がってくれましたが、母親と姉たちとの関係が上手くいかず母もイライラしていたため、かなり緊張の高いなかで育ち「トラウマさんがあるな」と大人になっても感じていました。
母はしつけだと思い、母の言うことを聞かない私を叩いていた時期もありました。8才の頃、母と一緒にお風呂に入り、恐らく私が口答えをしたんだと思います。叩かれる瞬間が見えてスッーとよけて、母が滑ってしまい笑ったことを覚えています。
それがきっかけで、叩かれなくなったのを覚えていますが、それまで叩かれていたことは、あまり覚えていません。
記憶と感情が整理されていない場面があったことを実感します。
記憶と感情の整理がされていないと、大人になった時「トラウマの再上演」として現れてきます。
「トラウマの再上演」とは、私の例でお話しますね。
私の場合、母に感情的に叱られ、単に母の機嫌が悪いだけなのですが、そんなことは理解できませんので、訳が分からず叱られた恐怖心だけが残り、いつ叱られるのだろうと母親の顔色を伺っていました。
何か印象に残る出来事では、一つひとつに「悲しい」とか「孤独」や「不安」逆に「嬉しい」「楽しい」などいろいろな感情が湧いてくるものです。出来事と感情がピッタリと整理できていないと「この感情は何かな?」とモヤモヤとした「嫌な感情」だけが残ってしまいます。
大人になり友人は、気の合う人とお付き合いをすればいいところ、母親と同じようなタイプの人と仲良くなろうとして顔色を伺い、自分の思いは言えず、いつも「はい」と言っていましたので、かなりのストレスでした。
「合わない」とわかっていても引っ付いていってしまう、この状態が「トラウマの再上演」です。
人間関係などで、何度も同じような失敗や発言をしたり、わかってるのにコントロールが効かず反応してしまうなど「トラウマさんの影響」を考えると案外納得できますよ。
「トラウマさんの正体」が分かったところで「トラウマさんの解消」について見ていきます。
4.「臓器反応」「内臓共感」を活用する
「トラウマさん」の反応をどのように解放していくのかということですが「FAP療法」では、「臓器反応」「内臓共感」を活用していきます。
【臓器反応・内臓共感とは】
大嶋先生が体験され、発見されたことなのですが、カウンセリングのお仕事をされていていて、毎日、胃が痛み胃薬を飲まれていたそうです。検査では、胃潰瘍の後があるので医師には「働きすぎなのでは」と言われて、お仕事を調整されても治らなかったそうです。
そんなある日、胃の調子が良い日があり痛みが治まっていた時、次の患者さんと会った瞬間、突然痛み始めて、調子が良かった分、不思議に思いカウンセリングをされていました。無表情の患者さんが怒りを表現され全部思いを吐き出し気持ちが解放されると同時に大嶋先生の胃の痛みも治まったのです。
そこで、内臓が反応していたことを発見されました。相手の怒りが伝わり臓器が反応するため「臓器反応」と言い、その反応を感じ取ることを「内臓共感」と言います。
この反応から、古代中国の医学から人間の体にある経絡「手の指先」に注目されました。
感情に伴って臓器が反応するため、この反応を解消するには、気になる出来事(トラウマさんの再上演の可能性のある)に関連する臓器反応の指先を押していくというところから、FAP療法の初期の「指を押さえる方法」が体系化されました。
体系化された指を押さえることで、モヤモヤするネガティブな感情と気になることの記憶が統合されて「あら不思議!」スッキリしていきます。
5.「中指ビンゴ」で、無意識につながる
どの指をどの順番で押していくのかはリストがあります。(共著 大嶋信頼先生/米沢宏先生/泉園子先生の『本当の私よこんにちは』より)
そのリストを探るために「中指ビンゴ」を活用します。これは、無意識に繋がる方法の一つで、気になることを解消するために探るだけではなく、自分の本音を知るためにも活用できますので、ぜひ自分のものにして下さいね。
「中指ビンゴ」に関係する概念は、ミラーニューロンです。
【ミラーニューロンとは】
1996年、イタリアの脳生理学者 リツォラッティ博士によって発見されました。猿に人間がリンゴをつかむ動作を見せ、猿の脳の反応を調べると猿は見ているだけで、実際に手足を動かしている脳の反応が見られたというものです。
人も相手の動作を見ていたり、人の場合は考えるだけでも、脳がミラーニューロンで相手と繋がり同じように反応することです。
不安な人や緊張している人の側にいると、その感覚が伝わって来てまるで自分のように感じることは想像できると思います。
このミラーニューロンを活用して、カウンセラーはクライエントさんの脳とミラーニューロンで繋がり指の反応として受け取り「トラウマ」の解消を行っていきます。
自分の本当の感覚を知るために、この「指の反応」は、自分が自分のカウンセラーになって行うことができるというわけなんです。
手(利き手で)をブラブラと降りながら、中指の反応を感じ取っていきます。反応は個人差があり、指がしびれる、つっぱる、固まる、ピクッとするなどがあります。私は、ピクッとする感じです。「中指の反応」を「中指ビンゴ」と名付けられました。
頭の中で気になることを思い浮かべて、例えば私の場合「この不安、私の感覚?」と聞きながら指の反応を見ます。反応がなければ、「違うよ」ということです。「じゃぁこの不安、誰の不安?」と自分に聞いてみると母の顔がよく浮かんだものです。母親の顔が浮かんだので「こっれて、母の不安?」と聞いてみると、中指が反応しました。「そうだよ」という答えです。
母とミラーニューロンで繋がり、母親の不安を自分の不安のように感じていたということです。
「そんな感覚、わからない」とか「バカバカしい」と思うと「良い悪い」で判断し、意識が働いて無意識で感じる反応はわからなくなります。無意識の反応を掴んでいくため、あまり考えずに感覚的に行っていきます。遊び感覚で簡単な質問を繰り返し、気楽に行ってみます。
毎日、自分が食べたい物を毎回聞いてみると練習になります。私の例ですが、この間も美味しそうな食パンが20%引きになっていて、意識では「お得!美味しそう」と思い買おうかと思いながら、スーパーで手をブラブラと降り「食パン食べたい?」と聞いてみると、指の反応はなく心の中でも「いらないよ」という感覚になってきました。
頭で考えて食べたいという気になりましたが「指の反応・中指ビンゴ」を活用すると、身体の反応で「いらない」とキャッチできるので、とても健康的です。
「中指ビンゴ」は、自分の判断で「あーでもないこーでもない」と考える脳を休めて直感的に体の反応をキャッチする便利な方法と思っていただければいいと思います。
自身の気になることや問題を解消するための指押しのパターンは11パターンあります。また、ご自身でも行える方法も詳しく書かれておりますので、ご興味を持っていただいた方は、是非書籍をご覧になって下さい。共著 大嶋信頼先生/米沢宏先生/泉園子先生の『本当の私よこんにちは』を参照ください。
ご自身で「トラウマを解消」は、難しいといった場合は、セラピーを受けてみるのも一つかもしれませんので、ご紹介させていただきます。FAP療法の詳しいご紹介は、こちらですです。