1.初期の指のツボを押さえるFAP療法

 

FAP療法は、年々バージョンアップされており、現在はVer15になります。初期のFAP療法が「指のツボを押さえる」という方法で、こちらは自分でも行うことができます。

今回は、セラピストが行っている方法のご紹介です。

私たちの感情と臓器は密接に関係しています。例えば、怒りを感じているとシクシク胃が痛んだり、食欲が低下したりすることがあります。不安を感じていると便秘や下痢になったりすることは、皆さんも経験されていると思います。

臓器と指は中国医学で言うところの経絡で繋がっており、指に刺激を与えることで臓器の痛みなどの症状とそれに関連する感情を和らげることができるという仕組みです。

そこで、FAP療法の開発者 大嶋信頼先生が自身の体験を交えて、感情から内臓が反応していることをミラーニューロンで伝わってくることを感じ、相手の怒りが伝わり臓器が反応することを「臓器反応」と言い、その反応を感じ取ることを「内臓共感」と言います。

ミラーニューロン(脳の共感反応)とは相手の行動を見て、自分自身までも同じ行動を取っているかのように反応するという人間の脳内の神経細胞の一つの働きです。ジアコーモ・リッツォラッティ博士らによって、1996年に発見されました。

一番わかりやすい例が、緊張している人が近くにいると自分も緊張を感じて「何だかドキドキしてきた」といった経験はあると思います。自分の感覚だと思っていた感覚が、実は他者の感覚をミラーニューロンで感じていただけという場合があります。

大嶋信頼先生は、この反応を受け取ったら次に解消していくために古代中国の医学から人間の体にある経絡「手の指先」に注目されました。

感情に伴って臓器が反応するため、気になる出来事(トラウマさんの再上演の可能性のある)に関連する臓器反応の指先を体系化された順番に沿って押していくという初期のFAP療法が開発されました。

その指を押すと、モヤモヤするネガティブな感情と状況の記憶が統合されて「あら不思議!」スッキリしていきます。

 

2.FAP療法によるトラウマの解消法

 

私たちは、日常で感情が動く状況があると思います。そんな時、この状況に対して「悲しい」とか「辛い」「嬉しい」「楽しい」などいろいろな感情が湧いてきます。

湧いてきた感情に対して「この状況」=「この感情」というように状況と感情が結びつき脳の中に整理され保管されるといいます。

これが、今までに経験したことのない状況が起きた時には「えー、この感情は何?」と一種のパニック状態のようになってしまいます。

すると「状況と感情」が整理されずバラバラできちんと脳に保管されなくなります。そして「漠然としたんモヤモヤとした何か」だけが残ってしまいます。私たちは、何かわからないものに対しては「恐れ」を感じるものです。

幼少期では感情がまだ未発達ですので、状況と感情が結びついて整理されず、よくわからない「恐れ」として残ってしまうことが考えられます。

その感覚を持ったまま大人になった時、自分でもよくわからないけど、ある状況になると、恐れを回避するために、自分が思うのと違った行動を取ってしまったり、わかっていても望ましくない行動や言動を繰り返したりしてしまいます。

これがトラウマを引き起こすメカニズムで、その状態を「トラウマの再上演」と捉えます。この「トラウマの再上演」が私たちを小さな枠に閉じ込めて、動けなくさせてしまいます。

そこで「FAP療法」は、今、気になっていることやお悩みをこの幼少期のトラウマの解消に焦点を当て「状況記憶」と「感情記憶」の統合を行っていきます。

統合されていくことで、モヤモヤした何かわからない「恐れ」のような感覚から解放へと向かっていくことに繋がります。

 

3.指のツボを押さえるFAP療法の流れ

 

相談者様が抱えている問題やお悩みの情報を感情や身体反応を基に脳の共感反応であるミラーニューロンを応用し、セラピストが指の反応で感じ取っていきます。

感じ取った情報からご相談者様に指のツボを押さえてもらうことで、緊張を緩和し、記憶と感情を統合させていくという方法です。

この流れを見てみると

〇相談者様が問題を思い浮かべて言語化してみる
       ⇓

〇相談者様の身体反応が起きる(気になることを言葉にすると、肩が張る、胃が圧迫される感じなど個々により、様々な感覚があります)
       ⇓
〇ミラーニューロンを介してセラピストの指の反応で感じ取り、問題と感情に関係するであろう経絡の指を特定する
       ⇓
〇相談者様の感情に関係する指のツボをセラピストと一緒に押さえてもらう
       ⇓
〇感情による緊張が緩和され、解離していた記憶と感情が統合される

また、セラピストが相談者様と一緒にツボを押さえ共有することで共感が深まり癒しとなって、相談者様の固着された概念からの解放が進んでいきます。

これらの方法をご自分でも行うことができます。

(現在のFAP療法のセッションではver.15を行います

著者 大嶋信頼先生「本当の私よこんにちは」で、FAP療法の自分でできる「指を押す方法」が詳しく紹介されています。書籍から学ぶこともできますし、株式会社インサイトカウンセリングさんでFAP療法初級講座が開催されており、この講座で学ぶことができます)