1.無意識に浮かんでくるネガティブな自動思考を知る
自分の心の中でいろいろ思うことってありますよね。意識して考えている時と、ほぼ自覚はなく無意識に思っていることがあります。無意識に浮かんでくる思考は、自動的な反応ですので自動思考といい、それが自己暗示となりそのように行動してしまうことがあります。
私の場合は「自分は、何をやってもダメ」と無意識に思っていました。すると、少し上手く言っただけでは眼中に入りませんので、ダメだという言葉通りの結果になってしまいます。そのことに気づいたのは、カウンセリングを学んでいた頃でした。[3.私の人生シフトチェンジの旅(カウンセリングとの出会い)]
気づくことでこの自己暗示から解放される第一歩になっていきます。
自動思考は、認知行動療法の概念の一つになります。人は同じ状況であっても全く違った反応をします。その反応の前に自動的に(無意識に)ある思考が働いています。その自動思考は、ほぼ自覚はなく無意識の領域ですので気付きにくいため少し意識してみる必要があります。
無意識に自分へのネガティブな自動思考が働いてしまうのは、子どもの頃の環境(母親や家族との関係性や状況など)から身についてしまいます。つまり、幼少期に周りが自分へ向けて発する言葉を受け取るなかで、自分が解釈をして取り入れてしまったり、直接言葉が刷り込まれたりしてしまったものです。
2.どのような言葉が浮かんでくるのか、自分の内側に気持ちを向けてみる
①0か100の捉え方
物事を0か100かで捉えてしまい、100でないなら0だと思ってしまいます。6~7割位できていれば「まずまずいい線だな」と思えると、それ程ストレスにはならず仕事であれば、上司の指示を受けてポイントを見直しスキルをアップすることができます。しかし、100ではないため「これでは全然ダメ!」という自動思考が働くとストレスは強くなり、効率も悪くなってしまいます。
②過度に一般化してしまう
上手くいかなかったり、失敗してしまったりした時、その先もずっと続いていくように捉えてしまい一般化してしまう。自動思考としては「ほら、やっぱりダメだ」「上手くいくはずがない」「次も失敗するだろう」と浮かんできたりします。
③心のフィルタリング
心のフィルターを通して見てしまう状態です。ネガティブな状況に目を向けてしまい、それ程悪い状況ではない事柄に対しても、俯瞰して見たり、客観的に見れなくなってしまい悪い方に焦点を当てます。たとえ自分を褒めてもらっても「お世辞を言われているだけ」という自動思考が働いたり「上手くいってもまぐれ」という自動思考が働きポジティブな印象が残らず自分を卑下してしまいます。
④いろいろなことをよりマイナス思考で捉えてしまう
例えば、スーパーで値段が下がっている食材を買い、帰って見てみるとかなり傷んでいたとします。「よく見なかったからな」だと通常ですが「私は、なんて運が悪いのだろう」という自動思考や「全てにおいて運が悪いんだ」という自動思考が湧いてきて、よりマイナス的に捉えて強化してしまいます。このような捉え方を人間関係や仕事でもしてしまい、その結果、自分には価値がないとなり、他者に対しても同じように厳しく評価してしまいます。
⑤結論の飛躍
根拠がないにも関わらず飛躍的に結論づけてしまいます。コミュニケーションでありがちなのは、相手の気持ちを飛躍的に想像してしまい「絶対に自分のことを嫌っている」と結論づけて関わりを避けてしまう。新しい仕事の依頼があり、せっかくのチャンスにも関わらず「失敗するから上司は自分を辞めさせようと仕事を回してきたに違いない」などといった飛躍的な自動思考が働き、自分の良さを活かせなくなってしまいます。
⑥ 誇大視と過小評価をしてしまう
誇大視してしまうのは、自分の短所の部分であり、過小評価は自分の長所の部分を過小評価してしまうため、全く自分らしく行動できなくなってしまいます。
⑦感情的に決めつけてしまう
主にネガティブな感情面に注目し「気力がわかないからやれない」「やる気が起きないからできない」と動けなくなってしまいます。実際にネガティブな感情が働いている時はもちろんやる気など出るはずがないのですが、その部分に注目し過ぎてより無気力になってしまいます。時には、やる気はないけど「坦々とやってみる」といった行動が難しくなります。
⑧「○○すべき」や「○○しなければならない」という表現をよくしている。
「これやりたいな」と思い始めたけれど、気付けば無意識の間に「○○しなければならない」や「○○すべき」という自動思考が働きストレスにります。「きっちりとやる」といった日本の文化でもあり素敵な一面でもありますが、この自動思考に縛られていると楽しいと感じなくなってしまいます。
⑨レッテルを貼ってしまう
例えば、失敗したとしてもその時々で内容は違っています。その状況を見れずに同じ枠組みの失敗という「レッテル」を貼ってしまいます。しかも失敗するという前提で物事を行っていますので、結果的に思った通りに失敗することになります。
⑩個人化(全て自分に関連付けてしまう)
よくありがちなのは、全て自分の責任と捉えてしまいます。
例えば、お仕事をチームで行っている時、チーム全体の責任のところを全て自分の責任と捉えてしまうため、リーダーや上司が考えるところの責任も背負ってしまいます。自分のやれるところを精一杯行い、後は上司にお任せするというように信頼できるようになると仕事も行いやすくなるのですが・・・そこが自動思考で無意識に湧いてくる考えなので、背負ってしまいストレスから簡単なミスに繋がり悪循環となります。
これらの自動思考を参考に「自分がしんどいな」とか「ネガティブな感情」になった時、どんな言葉を自分に向けて発しているのかを見ていきます。
自動思考は認知行動療法の概念であり、このような自動思考に気付いていき、その考え方捉え方を変えていくために練習をしながら行動を変えていくという方法です。捉え方が変われば自ずと行動は変化していきます。
シャンティISAでは、自動思考を参考にパターン化されたネガティブな捉え方の元となるトラウマに焦点を当ててアプローチしていく療法を行っています。また「人生シフトチェンジしっかりコース」では、固着してしまったエネルギーにもアプローチしていく方法も取り入れていますので、もし、ご興味をお持ちいただけましたらご参照ください。
次に簡単に今すぐ取り入れることのできる催眠や瞑想を応用した方法をご紹介致します。
3.「自分を許します」と催眠効果で解放する
自動思考が見つかれば、ここでは簡単な催眠効果を応用していきます。言葉がけをするだけの簡単な方法ですのでぜひ行ってみて下さい。
言葉は「自分を許します」と繰り返し唱えるだけです。
以前の私の場合、ネガティブな感情が湧いてきて落ち込んだ時「自分に対して、何て言ってるの?」と心に問いかけて聞いてみます。すると「自分はダメだな」という言葉が出てきました。この自動思考に気付いたら、心の中で「ダメだと思う自分を許します~○○な自分を許します」と自分の浮かんだ思考に対して「自分を許します」と繰り返していきます。
案外「自分を許す」というのは、難しいものです。
元々自分に優しく許せるのならネガティブな自動思考は身に付かないからです。許せているのなら失敗した時「どんまい、どんまい」とか「次にまた取り組めばいいよ」とか「何とかなるよ」と言った言葉が湧いてきます。
先ほどご紹介した自動思考が浮かぶ時「自分を許す」となると、「怠ける」とか「より脱落する」というように捉えるのではないでしょうか。
ここでよく考えてみると自分を許せずに「ダメだダメだ」と言ってしまう時、他者に対しても厳しくなっているのではないかと思います。自分に対して「優しい許し」があれば、他者に対しても「問題ないよ。大丈夫だよ」と言えたり思えるようになっていきます。
これは、非常にコミュニケーションが取りやすくなります。
そのためにもまずは「自分への許し」で、繰り返して自分に声がけをしていきます。「○○な自分を許します」と許しの言葉が心の深いところに浸透すれば、感情面も緩んで楽になっていきます。浸透された状態が催眠効果です。
今までは、親や周りの影響で自分に対してネガティブな言葉がけの催眠がかかっていたと思って下さい。ぜひ、逆催眠で解いていきましょう。(催眠は、怖いものでも怪しいものでもありません。リラックスしたり集中したりしている時の脳の状態です)
但し、時間は必要ですので、ネガティブな感情が湧いて自動思考に気付いたら、坦々と繰り返して下さい。
4.「内省、受け入れます」と瞑想効果で解放する
次に「内省、受け入れます」についてです。
私たちは、ネガティブな自動思考の影響を受けているように非常に言葉の影響を受けています。それを応用して「内省、受け入れます」と繰り返します。この言葉に反応して気持ちが内側に向くようになります。反省ではありませんので、誤解なきよう!
反省はしません。反省するとその時で終わった気持ちになり、気が付くとまた同じことを繰り返しています。それより内に向けて心の動きや自動思考に向けて原因を探っていきます。とはいうもののこれが「自分を許します」と同様に案外難しいです。
悩んでいる時は、他者がどう思っているのかどう評価しているのかと外側に目が向いているからです。周りに気持ちが向いてしまい、周りの人の思いや評価は、自分では簡単に変えることができないため、よりしんどくなるというこれまた悪循環に陥ってしまいます。
そこで、自分の内側にに気持ちを向けて、自分への心の癒しにだけ集中できれば「あれー?」という感じで、気持ちがスーッと楽になっていきます。
ダメ出しをする時は、他者と比べたり、何か結果を出さなければと思っている時なので、自分の内側に気持ちが向くと、そこは自分の自由な空間です。人と比べる必要がないことに気づいていきます。
「内省、受け入れます」と繰り返し唱えいくと、「内省」と言う言葉に反応して内に向いていきます。内に向いている状態は瞑想状態と同じ状態です。内に向けてさらにそれを受け入れていきます。つまりどんな自分でもOKということです。
瞑想しようとすると、力んでしまって却っていろいろな雑念が浮かんでくるのですが、「内省、受け入れます」という言葉を繰り返していきますので、雑念が入る余地がかなり少なくなります。もちろん雑念が浮かんできてもOK、それも許しそして受け入れていきます。そして、自分の感覚に集中していきます。
自分へのダメ出しの言葉が浮かんでも浮かばなくても日頃から「内省、受け入れます」と何も考えずに、何度か心の中で繰り返して唱えてあげると内に向く習慣が身についていきます。
瞑想に興味がない人も、とにかく楽に生きたいなぁと思われる方は、ぜひ唱えてみて下さいね。