1. 母娘関係は人生にかなり影響する

 

母娘関係で悩んでいらっしゃる方は、多いのではないでしょうか。同性ということもあり近くて深い関係性ですので、支配されてしまうと(母親は、愛だと思い支配だとは気づいていませんが)娘の人生は非常に窮屈で自由のない感じがしてしまいます。

この問題は、程よい距離感が取れていないことです。

私は、母親と共依存関係でしたが、その関係性に気づいたのは、カウンセリングを本格的に学び始めてからですので、30代後半の頃でした。

それまでは、自分のことはさておき母をサポートしなくてはいけないと思い込んでいました。母は、愚痴ばかり言っているので、精神的に弱い人なんだと思い込み誤解していましたが、実は、弱い人ではなかったのです。表現が悪いのですが、娘を支配するために愚痴を言っていたのでした。

支配と言っても母は、全く自覚していなかったと思います。結婚して離れていく娘に、ただ自分(母親)のことを一番に考えて欲しいという思いから愚痴を言って注目を集めていたのでした。

愚痴をいうと、私が母のことを気にかけるため「愚痴を言う母、愚痴を聞く娘(母をサポートしなくっちゃ)」という共依存関係が成り立っていました。

 

2. 幼少期の愛着形成が取れていること

 

共依存関係が成り立つことになったのは、やはり幼少期に遡ることになります。幼少期に大切な母親との愛着形成が上手く取れていませんでした。

愛着形成とは、言葉の通り「愛着」を形成することです。

具体的には、子どもが不安な時に親や親の代わりになる養育者に対して特別な反応をすることなんです。特別な反応を示し、それに適切に応えてもらうことにより形成されていきます。

例えば

ある時期には、子どもが不安を感じた時に愛着者である親を見つめたり、目で追ったり、もう少し成長すると、後追いをしたりする行動などです。また、親からの反応がない時には、自分に関心を向けてもらうために泣いたり、大きな声を出して気づいてもらおうとします。

子どもの反応に親が適切に応えていると愛着形成が成立し、子どもは安心することができます。

泣いたりしても「どうしたの?」と優しく答えてもらえず「泣くな」とイライラされると、親の愛情を感じることができず不安定な子どもに成長し、大人になっても安心した他者との関係性を築くことが難しくなります。

ストレスフルの状態になるということなんです。

私の場合、愛着形成が上手く取れていなかったため、必死に母親に好かれようと気遣い努力する人生を選択することになりました。その結果、母親の愛情を追い求めて執着し、母親の言動に左右されるという共依存関係が成立したというわけです。

共依存関係とは

母親に必要とされることを自分の拠り所として、その関係性自体に依存している状態のこと。

3. 愛着形成に思い当たるところがある人に向けて

 

自分の育った環境を思い出した時、愛着形成が母親と上手く築けていなかったんじゃないかなという場合は、それを理解するだけでも大分違います。

今さら親に不満を言うのではなく(解決になりませんので)、愛着形成ができていないと不安定になりやすいことを知り「自分を責めない」ということが大切です。自分は、ストレスを受けやすい傾向にあるということを知るだけでもそれに向けて改善策を見出していくきっかけになります。

上手くいかない時、自分が悪いといった後悔や罪悪感が襲ってくるのですが、後悔や罪悪感は「そうそう、湧いてくるよね」と、そのまんま大事に受け止めて心に聞いていきます。FAP療法では心に聞くという方法があります。

その聞き方は「心よ」とつけて聞いていきます。「心よ」とつけて聞いていくことで無意識さんの深いところにアクセスする橋渡しになってくれます。

「心よ。何があったの?」「心よ。何に罪悪感を感じたの?」「心よ。何がストレスになったの?」と自分の心に優しく聞いてあげて下さい。「心に聞く」詳しくはこちら

愛着形成が取れていなかったので、ストレスを受けやすいだけなのに「人はこんなことは気にしないよね」と比べてしまい抑えてしまうのですが、決してちょっとしたことではありません。「私は、これが気になったんだよね」と責めずに理解して何が気になったのかを心に聞いていきます。

 

4. 母娘の距離間は重要なポイント

 

私の場合、結婚しても毎週電話をして様子を伺っていましたので、洗濯機が壊れたとか、冷蔵庫が壊れそうとか、電気屋さんに相談してもらうことなのに私が見に行き手配したりしていました。

共依存関係に気付いてからは、距離を取ることを意識し始めましたが、何十年と共依存していましたので、かなり難しかったです。母の助けになることが私自身の人生でもありましたので、愚痴を言われると「すぐに何とかしなくっちゃ」と心がモヤモヤして動いてしまいます。

母の問題は、母自身の人生のこと。私が動くことではないと思い、段々、問題が起きた時に動かずに「そう」と聞くだけにしていきました。

たとえ不機嫌になっても「そう」と話は聞いて動かないというのが「モットー」になりました。年齢を重ねていくと身体の不具合が出てきますので、状況を見る必要はありましたが、母は、身体のちょっとした変化に神経質な面がありましたので「そうなのね」と聞くだけでも落ち着いていくことが多かったです。

よく考えてみると、自分のことではないので娘には何もできないのです。母の助けになろうとしなくてもいいのです。それより、自分のことを精一杯考えていくこと、自分が幸せになる選択をしていくことなのです。

すると、心に余裕が持てますので母の話を「そう」と気持ちよく聞くようになります。母は、母の選択をしているので、それを否定せず、その言動に振り回される必要はないことに気付いていきます。そのことに気づけば、距離を取ることができるようになります。自分を第一に考えるようになると、心から母に感謝することができるようになっていきます。

母に感謝できるようになると同時に母の支配から自由になっていきます。