1.母娘の関係性は難しい

 

本来、母娘の関係性は、とても難しいものです。同性ということもあり、お互いに「私のことをわかって欲しい」という思いが強くなるからです。

母娘の関係性で悩んでいらっしゃる方は、娘の方が気を遣い母親は、「こんなに心配しているのに」と思い、娘が抑えている本当の気持ちにまで辿り着かないものです。

また「こうあるべき」ということを教えられて育ったケースが多いと思います。それは、社会で求められてきたからです。その影響を受けて「こうあるべき」が強すぎて、その生き方に縛られ自由に自分の感覚を実感できずにいると、非常に生き辛い人生になってしまいます。

「こうあるべき」で本当の自分の気持ちや感覚がわからなくなると、母娘関係だけでなく、他者との人間関係も難しくなっていきますよね。

人間関係は、自分自身の感覚で「好き、嫌い」がハッキリしていることで、自分の感覚と合う人と付き合えば疲れないのですが、人に合わせていると、自分の「好き、嫌い」の感覚もわかりづらくなりしんどくなります。

わかってもらえない母親と程よく心の距離を取り、自分の感覚を取り戻していくことから始めていきます。すると、今この瞬間の人生は数段生きやすくなります。

自分の感覚を取り戻していくというのは、いい子、いい人でいなくてもいいことに気づいていくことからです。

母親から見て「優しい、いい子」は、母親にとっての「都合のいい子」になっていたのです。自分の感覚を大切にしていくと、親から見て「冷たくなったね」と言われることがあるかもしれませんが、本来それ位が丁度いいのです。

自分の感覚を大切にしていくために「母親にとっての都合のいい子」を止めて、程よく心の距離を取ることです。そのためには「客観的事実」だけに目を向けていきます。

2.母親と程よく距離を取るためのコツは「客観的事実」だけを見ていく

 

心の距離と言うのは、母親の言っている言葉は否定せず「そうだね」と受けとめるのですが、その裏に流れている親の思いを察しません。母親の意見を尊重すると同時に自分の考えや思いも尊重していくということです。そのためには、察する文化から手を引きます。

心の距離が必要なのであって、物理的に援助が必要な時は、助けてもらうこともありますし、高齢になった親のサポートは行います。

「客観的事実」に目を向けていくというのは

例えば、母親が「もう自分の部屋くらい片付けなさい」と言われたら「片づけられないダメな子」なんて一切感情を推測したりしません。「片づけて欲しい」という親の言葉だけに「そうね」と返事をして「片づけるのかどうかの選択肢は自分にある」ということです。

「片付け」という表面的な裏には「片づけられないなダメな娘」と母親がどこかでイメージを持ち、その影響を受けていることが多いです。

さらに、母親がこのままでは「この先どうなるのだろう」と不安なイメージまで持ってしまうと、お互いに影響し合い反応しちゃいます。そして母親の言動にイライラし「うるさい」となります。

影響するからと言って、母親が何も言わずに見守ってくれる人になってもらうように変えようと思っても無理です。(笑)

もう少し「客観的事実」についてお話すると、例えば真夏の40℃近い暑い日に公園を歩いていると、70代位の女性が犬の散歩をしているところを見かけたとします。その時、客観的事実だけを受け取ると「70代位に見える女性が犬の散歩をしていて、犬はゆっくりとその女性に引っ張られながら、舌をだらりと出して4本の足を動かしている」となります。

通常私たちは、客観的事実をそっちのけて「うわー、暑い日におばあちゃんも犬もしんどそう」と感情や感覚を想像してしまいます。

もちろん、想像通りの一面があり、真夏に散歩している女性と犬に「暑くてしんどいですよね」は、共感になるのですが、この共感は母娘では非常に難しくなかなかできませんよね。(笑)

そこで、さらりと「客観的事実」にだけ注目していきます。これは、とっても楽です。

母親が今、言っている言葉にだけ集中したり、もし母親がバターンと戸を閉めたのなら「怒っている」ではなく「扉を閉めたら、パターンという音がした」になります。裏に流れている感情は一切受け取りません。それが「客観的事実」のみに焦点を当てるということになります。

 

3.自分の心に聞いて、心地良さを選択する

 

母親の言動は言っている「客観的事実」のみを受け取るだけで、かなりの距離が取れるようになっていきます。

さらに自分の感覚を取り戻していくためには、面倒がらずに一つずつ行動する前に自分の心に聞いていきます。聞き方は「心よ。これは私がやりたいこと?」「心よ。私が好きな方はどっち?」「心よ。私が心地よく生きるために今私にできること教えて?」と私を主語にして、そして、FAP療法の聞き方は「心よ」とつけて聞いていきます。

FAP療法の「心に聞く」詳しくはこちら

このように「私」を主語にすると自分がハッキリし自分軸ができていきます。そして「心よ」とつけると、FAP療法で言う無意識さんにアクセスできるようになっていきます。つまり、本当の深い自分の心に聞いていくということです。

無意識さんは、良い悪いの判断はしません。「やりたい、やりたくない」「心地よい、不快」といった感覚の世界です。良い悪いと判断をして無理をするか、心地良い方を選択してストレスなく生きていくのか、私は後者です。

自分の心の深いところに聞いて心地よい方を選択し、嫌なことを減らしていき、いずれは止めていきます。無意識に行動すると人に合わせてしまい、合わせることが自分の感覚だと感じてしまうため、こまめに聞いていきます。

自分の心の思うままに!

「ええーー、そんな我がままな」と思うかもしれませんが、ストレスにならない生き方は喧嘩や争いも起きないんですよね。

自分を犠牲にして相手に合わせてしまうから「これだけやっているのにお返しはないの?」と相手に期待してストレスになってしまいます。母娘関係では、この象徴だと思います。

そこで、コロナの影響が出る少し前2021年1月に主人とネパール旅行へ行った時のことが非常に参考になりました。

ネパールでは、交通ルールが緩く各々が自分達のペースで運転しています。少々車同士が接触してもそのまま通り過ぎていきます。日本語のガイドさんにネパールの街を車で案内して頂いた時「ネパールの皆さんは、自由に運転されていて喧嘩にならないんですか?」と聞いてみました。

するとガイドさんは「ネパール人、自分のことしか考えていませんから、喧嘩になりません」とのこと。

「なるほど」と、非常に納得しました。

自分のことを考えて行動したり選択していくことで自分で責任を持つことになり、喧嘩にならないのだと思いました。さらに、ストレスにならないので自由でいて上手く回っているんだとも思いました。「これこれ」と実感しました。

人への気遣いは日本人の文化でもありますので、習慣になっていて、直ぐには切り替えられないところはあります。少しずつ自分に軸を置いて行動したり選択していくと、ストレスにならない分、相手を尊重し、自由でかつ上手く回っていくのではないかと思いました。

イライラしたり自分を責めたりする時は、自分を抑えてストレスになっているサインなのかもしれません。

自分に軸をおいて、母親や周りの人が何と言っても「心よ。私はどうしたいの?」と自分の心に聞いて下さいね。

最初は自分の心に聞いても直ぐに答えてはくれません。「今まで無視してきたくせに、今さらどうせ希望を伝えても聞いてくれないんでしょう」と、自分の心は無反応かもしれません。そりゃそうだと思います。

私の場合、自分軸を取り戻すのにかなりの時間が必要でしたが、疲れたら自分軸に戻していくことを習慣にしていくと、必ず身についていきます。

心に聞き続けて、何かしらの心の声を感じたら「良い、悪い」は考えず心の声を聞きとってあげて下さい。段々自分の心との信頼関係が築けていけると、本当に自分が思うことやりたいことが見えていきます。

自分をただただ大切にしていくだけでいいので、やってみて下さいね。自分が幸せだと自然に人にも優しくなれますよ。