はじめに
私が対人恐怖や過食症で悩んでいた頃、最初に出会ったのが「自律訓練法」というリラックス法でした。高校を中退し、美容室に見習いとして勤め始めた時のことです。
対人恐怖で高校を中退したのに接客業に入るのは、今思えば何も考えていなかった10代の選択でした。その後、学歴コンプレックスに悩まされ、美容室を辞め、工場勤務をしながら高校卒業資格を取得し、通信制大学を卒業しました。
美容室勤務の帰り道、書店で「引っ込み思案はこれで治る!」(絶版)という本を見つけ購入。そこで紹介されていたのがこのリラックス法です。日常的にリラックスができると、ストレス耐性が高まります。当時の私は毎日実践していました。
1.自立訓練法(リラックス法)とは
自律訓練法は、ベルリン大学のシュルツ博士によって考案された自己催眠法です。深い瞑想状態にある行者の身体を生理学的に調査し、その状態を自己暗示によって再現する方法です。
身体の各部分に穏やかに意識を向けることで心身がリラックスし、ストレスを緩和します。日常でも経験するリラックス状態で、例えば、眠る前のうとうとした心地よさや、映画に没頭して周囲の音が聞こえなくなるような状態です。それを自己暗示で導入できれば便利です。
1日のうちほんの少しの時間でも意識的にリラックスすることで、自律神経のバランスが整っていきます。
①自律神経のバランスとは
自律神経には、緊張時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経があります。このバランスが取れていれば心身ともに健康ですが、現代は情報過多で常に緊張状態にさらされています。
意識的にリラックス状態を取り入れることで、穏やかな人間関係も築いていけるようになります。私の場合は「トラウマ」も関係していたため、ここから人生をシフトチェンジするための旅が始まりました。
②自律訓練法の実践方法
環 境
ゆったりとした椅子に腰掛けたり、横になったり、寝る前に実践するのが理想的です。しかし通勤電車や仕事の合間など、目を閉じられる環境であればどこでも可能です。
具体的な方法
身体の各部分に意識を向けながら、以下の自己暗示を心の中で15〜20秒程度繰り返します。言葉を伸ばして言うことがリラックス状態へ導くコツです。
各部分への意識は以下の6ヶ所で、間に「気持ちがとてもゆったりと落ち着いている」と挿入します。
- 「両腕が重ーい・両足が重ーい」(のばし言葉で、感覚的に15秒~20秒程、以下同じ)その後 「気持ちがとてもゆったりと落ち着いている」と1回唱える(以下同じ)
- 「両腕が暖かーい・両足が暖かーい」 気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
- 「お腹が温かーい」(胃の裏あたり) 気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
- 「心臓が規則正しく動いている、正確に動いている」 ※心臓の鼓動が気になる方や心臓疾患のある方は省略してください 気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
- 「呼吸がとても楽だ」 気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
- 「額が涼しい」(または「額が冷たい」) 気持ちがとてもゆったりと落ち着いている
これは「頭寒足熱」の状態を自己暗示するものです。この暗示によって、深いリラックス状態に入っていくことができます。
ストレスの状態によってリラックスの深さには個人差がありますので、毎日気軽に続けることがコツです。続けていくうちに、起きているわけでも眠っているわけでもない深いリラックス状態に入れるようになります。
夜、寝る前に行う場合は、そのまま眠りに入ってもかまいません。昼間の短い時間に行う場合は、終了後にしっかり目覚める必要があります。「今からスッキリと目覚める」などと自己暗示してから目を開けると、その後の活動の効率がアップします。
1.と2.の暗示は反応しやすく、3.以降は実感しにくいことがありますが、1.と2.だけでも十分なリラックス効果が得られます。目的は、リラックス状態を導くことですので、体感にこだわらず気楽に行いましょう。
毎日寝る前に行うと、個人差はありますが質の良い睡眠も期待できそうです。
*この記事は個人の体験に基づくものであり、医学的助言を目的としたものではありません。健康上の問題がある場合は、医師にご相談ください。
2.ストレスを溜めない心の持ち方
ストレスがたまりやすい方は「どうせ私なんて」などの自己否定や、「やらなければならない」といった義務的な捉え方が関係しています。このような状態は「トラウマ状態」の可能性がある場合もあります。
一般的に「トラウマ」は大きな災害などによるストレスで起こるものというイメージがあります。しかし、幼少期のネガティブな環境による持続的な緊張状態も「トラウマ状態」と似た反応を示すことがあります。
そのような環境で幼少期を過ごした場合、自分の気持ちを無視して「やらなければ」と義務的になり、必要以上の責任感を背負って心身が枯渇状態になります。そうなれば、ストレスが溜まるのは当然です。
幼少期から「やらなければならない」と教えられたり、否定的なフィードバックばかり受けていると、「私なんて」という思考になるのは自然なことです。当時は選択肢がなく、判断力が未熟な幼少期では、ネガティブなフィードバックもそのまま受け入れていました。
「そんな環境でよく今まで生きてきたよね」と自分を賞賛してください。
大人になった今、自分を最優先し、自分に最大限の優しさを与えていいのです。自分に対して「私はどうしたい?」「私が一番心地よい方法は?」など、自分の心に問いかけてみてください。
やり終えなかったことがあっても大丈夫です。「やり終えなかった自分を許します」と自分に優しく伝え、許してみましょう。心から許せると気持ちが軽くなり、ストレスフリーな状態になります。
適当な感覚でやってみると案外能率は上がり、気づくと予定していたことを全て終えていることがあります。
「自律訓練法」でリラックスする心地よい感覚をつかむことで、心の安定が得られ、心身のバランスが整い、ストレス解消につながります。深くリラックスする時間を持ち、日々を楽しく過ごし、自身の能力を活かしていきましょう。
心の解放と自分らしい人生への旅〜私が実践してきた癒しの療法〜
2.私が実践してきた療法「催眠療法/ヒプノセラピーとの出会い」
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